専門分野の事を勉強し続ける
プロフェッショナルの流儀で山口桂さんというオークションスペシャリストが紹介されていました。
日本美術のことは日本人がよくわかっているわけではない。世界にはそれ以上の人がたくさんいる、だから自分も勉強した。というようなことを言っていました。
専門家だからといって、日々淡々と仕事をしているだけではだめで、常に勉強しなければならないと刺激をうけたひと時でした。
コンピューターでの文字の読み方訓練は効果的
私は小さいころから子どもにタブレットで計算やら漢字やら勉強させてきました。
単純計算はこれでかなり早くなる印象があります。
今回紹介する研究は、アルファベットの読み練習をコンピュータでするのは効果があるかどうかという研究です。
これも、対象者を二つのグループにランダムに分けて実験するという研究なので説得力があります。
対象はイギリスの4歳から6歳の子ども98名で、一方にはLexia Reading Core5というコンピュータプログラムを8週間やってもらい、もう一方は何もしないという研究です。
結果は、アルファベットの音を組み合わせるテストなどで、プログラムをやらなかった子どもに比べて、プログラムをやった子どもの方が成績が良かったと言うことです。程度は小さな効果でした。
タブレットを使えば、時間のある時に手軽にできますし、色々な無料アプリもあるので、やる価値はありそうです。今回の結果はアルファベットについてなので、その限定つきではありますが。
教育には親の関わりを促すべし: フランスの研究
教育の基本は親の関わりにあると思っています。
フランスの研究でその一部が証明されていました。
これも、ランダムに2つのグループをつくり、それぞれを比較した研究(無作為化比較試験)なので信頼できます。
研究の対象地域はフランスのあまり恵まれていない地域です。
その中で、37の学校、215のクラス、約500人の生徒の家族が対象となりました。
どのようなことを行ったかというと、2,3週に一度、3回シリーズで子どもの学校教育へ積極的に関わらせることを目的に親を集めて会合や議論をしたということです。
もう一方のグループはこういうことを行いません。
効果の検討は、親には教育への関わりの程度(学校と家庭)などを聞きました。生徒の評価は、成績や問題行動、欠席数を評価しました。
結果は・・・
プログラムを受けたグループの方が
・親の教育へのかかわりや学校への好感は強くなりました。(その強さはそこまで大きくなかったようです:自分のための備忘録:Cohen's d=0.1, 0.2, respectively)
・子どもの方は、成績がよく、欠席数が少なく、問題行動もなかったということです。
(この強さもそこまで大きくなかったようです:自分のための備忘録Cohen's d=0.1)
私の感想:効果はそれほど大きくないとはいえ、お金もかからないし、難しい介入を行ったわけではありません。親が子どもの教育にいかに関わるように促すかというのは重要ですね。
逆に、こういう介入をせずとも、自分達で積極的に子どもの教育に関わるようにすることも大事と思います。
塾通いについて
子どもの教育について日々悩んでいます。
私自身は今までほぼ塾・予備校は通ったことがありません。おかげで若干回り道もしていますが、そのかわり、試験のコツは会得して、大学卒業後の試験は落ちたことがありません。しかし、子どもを持ってからというもの、どういう教育が果たして良いものかと悩んできました。
これまで出会った方で、すごいと思える方は、知識、思考、行動、人間性が優れている方々でした。科学的でありながら、歴史を踏まえて、個々の知識を十分咀嚼しているように思うのです。
そういうものを身につけてもらうにはどうしたらよいか?
とりあえず、まずは日常生活が人間的であった方が良いかなと思ったのと、考えるということを伝えるのがよいかな、という発想のもと、子どもが小さなころは、よく遊んだりしてみました。勉強といえば、計算というより、少しパズル的な要素があったほうがよいかなと思って、そういう問題集をやってみました。
ただ、中学受験を意識して、塾の試験を受けてみると、このパズル的なやり方がよかったのか若干自信がないです。低学年の頃は結構点数が取れて、うちの子は頭がいいなあとおもったりしていたのですが、入塾しようとする3年おわりの試験では良いクラスに入れない点数で悔しい思いをしました。悔しがらせる塾の戦略では、などと言い訳してみたり。
パズル自体について振り返っても、思考はしますが、何か目的がはっきりしない。でもって、それで計算力がとてもつくわけでもない。そんなことを経ながら塾へはいりましたが、塾に対する見方が変わりました。塾に対しては、詰め込みだろうという不信感がありましたが、それは間違っていたように思います。
子どもは4年生から日能研に通い始めているのですが、テキストが非常によい。なぜこれを学ぶのかという意味から入っている。これだったら、もっと低学年からはいっても(時間がそんなに長くなければ)よかったかなともおもう日々です。
でも、まだ模索は続けていこうと思います。
3歳から4歳の間の教育は影響力が大きいようだ
自分の子どもをどう教育するか?大変悩ましいところです。
米国では1962年から1967年の間に非常に説得力のある研究が行われました。
3歳から4歳の家庭の恵まれない64人に対して、ウィークデイの朝に毎日2.5時間の教室、1週間に1度90分先生が家を訪ねるというプログラムをしました。
この研究はこのようなプログラムを実施する群とそうでない群にランダムに分けて、比較した調査ですので、信頼できる調査です。
その結果、IQ自体は4年間フォローすると差が無くなりましたが、40歳時点で両群を比較すると、プログラムを受けた群のほうが、テストの点数が高く、より高い教育を受けて、給料も高く、家を持っている割合も高く・・・ということでした。
古い研究ですが、説得力があります。
この研究対象はやや特殊かもしれませんが、早いうちに教育を行うというのは良いようです。
しかしどのような内容で行ったらよいのか?そこは考えどころですね。
パニック障害にも認知行動療法が効く
パニック障害というのは、動悸、息苦しさ、ふらつき、どうにかなってしまいそう、死ぬのではないかなどなどの不安、恐怖が急に起こるという障害です。そういう発作は数分でピークに達して、通常は2,30分ぐらい続き、1時間以上続くことはあまりないと言われています。
パニック障害にどんな心理療法が効くのかを、色々な心理療法を比較した研究があります。
これによると、認知行動療法が一番反応率(ある程度改善する)が良かったようです。ただ、研究に含まれている心理療法が認知行動療法、行動療法、認知療法、身体に働きかける治療、精神分析だったので、その他の心理療法については分かりません。そうはいっても、その他の心理療法ではあまりしっかりとした研究がないというのもあるように思います。
どの程度効くかというと、この論文によると、何もしなければ100人中36人しか完全に回復しないけれど、認知行動療法をすることによって100人中61人が完全に良くなるという位の差ということでした。
うつ病に行動活性化はどれだけ効くか?
これまで行動活性化は費用も安く、行うにもバリバリの専門家でなくても良さそうで、効果があるということをご紹介してきました。では、どれくらい効果があるのでしょうか?
こんな研究があります。
この研究は以前にご紹介した、研究の信頼性でいうと最も信頼できる、”メタアナリシス”になります。
行動活性化を受ける人と、何もしないか普通の治療を受ける人を比べた研究(しかもランダムにどちらかに振り分けられる)は25研究あり、足し合わせると1088人の結果が解析されました。
結果、2.5人に1人は何もしないか普通の治療よりも良くなった!ということが分かりました。
やっぱり行動活性化はよいですね。