強迫性障害 まとめ研究
大人の強迫性障害のまとめ研究について調べて見ました。
色々な研究をまとめて、最終的にどうなの?という研究(メタアナリシス)を調べましたが、今回はネットワークメタアナリシスというのが検索で見つかりました。
通常は、治療しない群とある治療の比較で治療が効果あるの?とか、治療Aと治療Bの比較でどっちが効果があるの?差がないの?とか調べた研究を集めて、そのペアでの優劣の結論を出します。
ところが、このネットワークメタアナリシスでは、とりあえず、色々な比較をした研究を集めてきて、じゃあ、全部合わせてどの治療がよいか、というのを見る、かなり画期的な研究です。しかも、直接比較していないものも、この計算方法では優劣がわかってしまうということです。
研究者の中には、ネットワークメタアナリシスが本当に良いものか異論を唱える人もいるようですが、そこは研究者に任せてお効果なと思います。
すくなくとも私たちの判断材料にはなるでしょう。
2016年の研究なので新しい研究です。
ランセットという有名な雑誌の精神医学版に掲載されていました。しかも本文が無料で見れます!
この論文の中では53の研究が分析に含まれています。
薬剤では各種のSSRI、クロミプラミン(三環系抗うつ薬:アナフラニール)、それから薬草(西洋オトギリソウ)、心理療法では行動療法、認知療法、認知行動療法、併用療法では認知行動療法とフルボキサミン(SSRI:デプロメールやルボックス)、行動療法とクロミプラミンが解析に入れられています。
解析の結果、偽薬との比較が表になっています。
http://thelancet.com/action/showFullTableImage?tableId=tbl2&pii=S2215036616300694
これを見ると、薬剤も心理療法もいずれも効果がある。しかし、心理療法のほうがより効果が強いようです。行動療法と認知療法ではそこまで開きはなさそう。認知行動療法がそれ以外と比べると弱いかなという印象(薬草は効果あるとはいえません。どちらかというとない可能性が高そうです。)
薬剤と心理療法を比較すると
http://thelancet.com/action/showFullTableImage?tableId=tbl3&pii=S2215036616300694
行動療法と認知療法が薬剤より有効だということがわかります。
ただし、注意しなければならないのは、行動療法など心理療法の研究をよくよく見ると、ほとんどで薬剤も使用されていたということです。
ですので、総合すると、心理療法(行動療法、認知療法、認知行動療法)+薬剤がいいのではという結論がされています。
研究結果から言うと、心理療法では行動療法がよいのかなと思いました。