精神科医のブログ 臨床・生活・教育・経済

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小学校1年生の漢字勉強

国語の要、「読み」「書き」の「書き」の部分に注目です。

 

書きには、漢字の知識が欠かせません。

漢字を読むという学習では、タブレットでの読み練習が非常に効果的でした。幼稚園時代からゲームとして漢字のアプリをしていると、漢字を読むことはすぐにマスターしました。(おすすめアプリはまたの機会に)

しかし、”書き”となると良いものがなかなかありませんでした。

アプリでも漢字を書くものがあるのですが、精度が非常に悪い。これを正解にするのか???というぐらい。しかも指でやることが多かったので、鉛筆の感覚とは少し違うように思いました。

 

そこで、読みの訓練に使った出口さんの漢字バーションをやってみたりもしましたが、これが全く良くない。読みの問題集があれほど良かったのに、手抜き感があって、私が読んでいてもこれはちょっと難しい・・・面白くない・・・という感じでした。

 

発想を変えて、漢字を成り立ちから理解するというアプローチを取ることにしました。記憶術のコツとして、絵で物事を記憶するというものがあるので、成り立ちを理解することで漢字も楽しく覚えられるのではと思ったのです。

下村式の漢字練習ノートは成り立ちから紹介されています。しかし!成り立ちは書いてありますが、漢字をただ書くだけでつまらない。結局続かない。

なので、子どもが覚えられない漢字を中心に辞書で調べて、こういう成り立ちだよと教えてあげることにしました。この分野の大家はやはり、白川静先生でしょう。色々な辞書を執筆されていますが、小学生の漢字に特化した下記の辞書は良かったです。

 

常用字解 第二版

常用字解 第二版

 

 ただ、この辞書を調べても、??という成り立ちのものや、子どもに理解しづらいものがありました。たまたま親戚からくもんの漢字辞典をいただいていたので、こちらも参照すると、こちらも良くわかりやすかったです。

 

くもんの学習 漢字字典

くもんの学習 漢字字典

 

 正統派好み、あるいは大人自身も勉強したい方は白川先生のを、より理解しやすいものであれば、くもんのものが良いと思います。

大きさとしては白川先生のものは持ち運び簡単なサイズですが、くもんのものは大きいので家で使用という感じです。この点からも選択できるかなと思います。

 

さてしかし、その都度辞書を引いて教えてあげるという労力も大変。全部できるわけがない。=効率悪し。

 

そこで、漢字検定を導入しました。達成感があって、短期間でがちっと覚えるという点では漢字検定が良かったです。満点賞というのがあって、一度取ると、またという気持ちになってくれれば、さらにモチベーションアップ。資格という賞状になると本人も誇らしげです。小学校1年生は10級できれば卒業。

 

漢検10級漢字学習ステップ 改訂版

漢検10級漢字学習ステップ 改訂版

 

 

 

 

 

よかった問題集1年生 国語 「読み」

 国語は「読み」「書き」に分かれます。

 

まず、「読み」には文・文章の構造の理解、知識、集中力が必要です。
このうち、一年生では、文の理解の初歩までを目指すのが無理がないレベルと思います。集中力は注意力ともだぶっていますが、文に注目させることで注意力が増します。知識はこの過程でそれなりについてくることを期待します。

 

ただし、1年生では文章に行く前に、一つの文の理解が重要です。結構本を読んでいる子どもでもせっかちな子どもは、文を読んでいるようで結構飛ばし読みをしていて、内容を聞くと良くわかっていないことも多いと思います。

 

段階としては、

1.ひらがな、カタカナ、簡単な漢字が読める

2.てにおは、つまり助詞を理解する

というのが一つの目標になると思います。

3.その上で文章を読む

 

この目標を達成するために、まずは、入学前から絵本とか図鑑とかに親しむことは楽しくていいと思います。

 

1年生になってお勧めの問題集としては、

 

 

出口汪の日本語論理トレーニング 小学一年 基礎編

出口汪の日本語論理トレーニング 小学一年 基礎編

 

  

出口汪の日本語論理トレーニング 小学1年 習熟編―論理エンジンJr.
 

 

 

が挙げられます。

特徴としては

 

1.1冊が薄い!=割高ですが、終わるたびにモチベーションが上がる

2.問題文が短いので、読み易い=小学一年生の短い集中力でもあきない

3.てにおはの理解に最適

 

これを終えた上で、

 

論理エンジン小学生版1年生―どっかい・さくぶんトレーニング

論理エンジン小学生版1年生―どっかい・さくぶんトレーニング

 

 この問題集を行う。

この問題集は、前述した3つの問題集に比べてしっかりとした長めの文章を読ませます。ただ、工夫があり、段階的に何度も読ませるという工夫があります。これによって、しっかり文章を読むという習慣が無意識的についてくるように思います。

 具体的には、まず、全体の文章を音読させます。その後に、その文章をブロックに分けて、一つのブロックごとに、内容についての問題が提示されます。ですので、これも集中力が短くてもついていけるようになっています。

 

 早い人なら一年かけずともこれらの問題集が終わってしまうと思います。その時は同じシリーズの2年生版に手を伸ばすのも一手です。

専門分野の事を勉強し続ける

プロフェッショナルの流儀で山口桂さんというオークションスペシャリストが紹介されていました。

 

日本美術のことは日本人がよくわかっているわけではない。世界にはそれ以上の人がたくさんいる、だから自分も勉強した。というようなことを言っていました。

 

専門家だからといって、日々淡々と仕事をしているだけではだめで、常に勉強しなければならないと刺激をうけたひと時でした。

コンピューターでの文字の読み方訓練は効果的

私は小さいころから子どもにタブレットで計算やら漢字やら勉強させてきました。

単純計算はこれでかなり早くなる印象があります。

今回紹介する研究は、アルファベットの読み練習をコンピュータでするのは効果があるかどうかという研究です。

これも、対象者を二つのグループにランダムに分けて実験するという研究なので説得力があります。

 

A randomized controlled trial of an early-intervention, computer-based literacy program to boost phonological skills in 4- to 6-year-old children. - PubMed - NCBI

 

対象はイギリスの4歳から6歳の子ども98名で、一方にはLexia Reading Core5というコンピュータプログラムを8週間やってもらい、もう一方は何もしないという研究です。

 

結果は、アルファベットの音を組み合わせるテストなどで、プログラムをやらなかった子どもに比べて、プログラムをやった子どもの方が成績が良かったと言うことです。程度は小さな効果でした。

 

タブレットを使えば、時間のある時に手軽にできますし、色々な無料アプリもあるので、やる価値はありそうです。今回の結果はアルファベットについてなので、その限定つきではありますが。

 

 

 

 

教育には親の関わりを促すべし: フランスの研究

教育の基本は親の関わりにあると思っています。

 

フランスの研究でその一部が証明されていました。

これも、ランダムに2つのグループをつくり、それぞれを比較した研究(無作為化比較試験)なので信頼できます。

Getting Parents Involved: A Field Experiment in Deprived Schools | The Review of Economic Studies | Oxford Academic

 

研究の対象地域はフランスのあまり恵まれていない地域です。

その中で、37の学校、215のクラス、約500人の生徒の家族が対象となりました。

 

どのようなことを行ったかというと、2,3週に一度、3回シリーズで子どもの学校教育へ積極的に関わらせることを目的に親を集めて会合や議論をしたということです。

もう一方のグループはこういうことを行いません。

 

効果の検討は、親には教育への関わりの程度(学校と家庭)などを聞きました。生徒の評価は、成績や問題行動、欠席数を評価しました。

 

結果は・・・

プログラムを受けたグループの方が

・親の教育へのかかわりや学校への好感は強くなりました。(その強さはそこまで大きくなかったようです:自分のための備忘録:Cohen's d=0.1, 0.2, respectively)

・子どもの方は、成績がよく、欠席数が少なく、問題行動もなかったということです。

(この強さもそこまで大きくなかったようです:自分のための備忘録Cohen's d=0.1)

 

私の感想:効果はそれほど大きくないとはいえ、お金もかからないし、難しい介入を行ったわけではありません。親が子どもの教育にいかに関わるように促すかというのは重要ですね。

逆に、こういう介入をせずとも、自分達で積極的に子どもの教育に関わるようにすることも大事と思います。

 

 

 

塾通いについて

子どもの教育について日々悩んでいます。

 

私自身は今までほぼ塾・予備校は通ったことがありません。おかげで若干回り道もしていますが、そのかわり、試験のコツは会得して、大学卒業後の試験は落ちたことがありません。しかし、子どもを持ってからというもの、どういう教育が果たして良いものかと悩んできました。

 

これまで出会った方で、すごいと思える方は、知識、思考、行動、人間性が優れている方々でした。科学的でありながら、歴史を踏まえて、個々の知識を十分咀嚼しているように思うのです。

 

そういうものを身につけてもらうにはどうしたらよいか?

とりあえず、まずは日常生活が人間的であった方が良いかなと思ったのと、考えるということを伝えるのがよいかな、という発想のもと、子どもが小さなころは、よく遊んだりしてみました。勉強といえば、計算というより、少しパズル的な要素があったほうがよいかなと思って、そういう問題集をやってみました。

 

ただ、中学受験を意識して、塾の試験を受けてみると、このパズル的なやり方がよかったのか若干自信がないです。低学年の頃は結構点数が取れて、うちの子は頭がいいなあとおもったりしていたのですが、入塾しようとする3年おわりの試験では良いクラスに入れない点数で悔しい思いをしました。悔しがらせる塾の戦略では、などと言い訳してみたり。

 

パズル自体について振り返っても、思考はしますが、何か目的がはっきりしない。でもって、それで計算力がとてもつくわけでもない。そんなことを経ながら塾へはいりましたが、塾に対する見方が変わりました。塾に対しては、詰め込みだろうという不信感がありましたが、それは間違っていたように思います。

 

子どもは4年生から日能研に通い始めているのですが、テキストが非常によい。なぜこれを学ぶのかという意味から入っている。これだったら、もっと低学年からはいっても(時間がそんなに長くなければ)よかったかなともおもう日々です。

 

でも、まだ模索は続けていこうと思います。

3歳から4歳の間の教育は影響力が大きいようだ

自分の子どもをどう教育するか?大変悩ましいところです。

 

米国では1962年から1967年の間に非常に説得力のある研究が行われました。

 

3歳から4歳の家庭の恵まれない64人に対して、ウィークデイの朝に毎日2.5時間の教室、1週間に1度90分先生が家を訪ねるというプログラムをしました。

 

この研究はこのようなプログラムを実施する群とそうでない群にランダムに分けて、比較した調査ですので、信頼できる調査です。

 

その結果、IQ自体は4年間フォローすると差が無くなりましたが、40歳時点で両群を比較すると、プログラムを受けた群のほうが、テストの点数が高く、より高い教育を受けて、給料も高く、家を持っている割合も高く・・・ということでした。

 

古い研究ですが、説得力があります。

この研究対象はやや特殊かもしれませんが、早いうちに教育を行うというのは良いようです。

しかしどのような内容で行ったらよいのか?そこは考えどころですね。